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専業トレーダー DaTsU

-慰み商い-

相場保ち合いの時うっかり慰みに商い仕掛くることあり、はなはだ宜しから
ず、慎むべきなり。この商い強いて初念の思い入れを離れ難きものなり。よほ
ど玄人ならで、見切りできざるものなり。例えば百両売り付け候て、少々上が
る時、最初踏み出しの百両分に念を残して買うことを忘れ、又々売り重ねる心
になるなり。段々踏み上がる時はここにて売りならすべしと売り込む故、自然
金高成嵩み、後々は売り返しも買い返しも自由ならず、大事に及ぶなり。付き
出し商いを慰みのようにうっかり仕掛ける商いより発するなり。例えば百両分
仕掛けるとも容易に心得ざるものなり。とくと米の通い運びを見定め、作割金
割を考え、売買とも付き出し申すべきことなり。

 相場が保ち合いの時に軽い気持ちで相場に手を出すことがあります。これは
とてもよくないことで決してやってはいけません。こういった商いは最初の考
えから離れにくく、よほど慣れた人でないと見切ることが出来ないのです。例
えば百両売って少し上がった時に最初に仕掛けた百両が頭にあって、買いに出
ることが出来ず、売り上がることばかりを考えてしまうのです。その後もどん
どん上昇してしまうとここで売り平均(難平=ナンピン)しようとどんどん売
り上がってしまい、自然と金額が嵩んでしまいその後は二進も三進もいかなく
なってしまい大変なことになってしまうのです。最初の売買を手慰めのように
いとも簡単に何も考えずに仕掛けてしまったことに端を発し、大事になってし
まったのです。たとえ百両(少ない金額と考えて下さい)仕掛ける時にでも簡
単に考えてはいけないのです。よく相場の動向を見極め、作柄や資金の需給動
向を考えて売買の仕掛け商いをしなければいけないのです。

 最近流行っている「デイトレーダー」の中にはとりあえず動いているものの
動いている方向に付くようなやり方をする人もいます。よほど目端が利いて器
用な人間でないと闇雲に仕掛けて行ってもなかなかしっかりと儲かるものでは
ないのです。また、「何となく良さそうだ」と買いに出たものの次の日に業績
の下方修正を発表して売られてしまった、などということも良くあることです。
そこで、しっかりと投げる(損失を確定して売ってしまうこと)ことが出来れ
ばまだ、大丈夫なのですが、「何となく」「とりあえず」買ったものに固執し
て難平を入れたり、どんどん買い下がって、最後には持ち玉全部が「何となく」
買い始めた銘柄となり、「何となく」買ったものが二進も三進も行かなくなっ
て、後生大事に塩漬けにしてしまう結果となってしまうのです。「デイトレー
ダー」でもそうでなく中長期の投資の場合でもしっかりと相場環境や個別の注
目する銘柄の業績や株価位置などを調べ、なおかつ、「どの水準で」「どのタ
イミングで」買うのか、あるいは「どうなると思っている」から「どういった
タイミングで」「どの水準で」利益を確定するつもりか、あるいは「どこまで
下がったたら」買い下がるのか、あるいは投げるのか、などとその投資対象と
する銘柄の動きに合わせた方針を立てなければうまく行かないことが多いので
す。「何となく」買った銘柄で少しでも儲けてやろうと思うとなかなか儲から
ないもので、固執することなく早々と見切ることも大切ですし、何より、「何
となく」仕掛けるようなことは決してしてはならないことなのです。

 この書、懇意の間柄にても、必ず必ず、見せ申すまじきなり。全く、われ一
人富まんとにはあらず。この書をよくよく見極めもせず、心安きものに心得、
売り買い致し候えば手違いになり、時により身上にかかわり、恨みを受くる故
に、必ず必ず他見無用のこと、秘すべし秘すべし。特に三位の伝は天下稀なる
法立てにて知るもの数少なし。この法にしたがって、売り買い致すときは、福
徳利運にして、損するということなし。大切に心得、秘蔵すべし、慎むべし。
秘すべし。

 この書はどんなに仲のいい人にも絶対に見せてはいけません。これは自分が
一人で儲けようとしているからではなく、この書の真髄を良く見極めもせず、
この書を読んだだけで相場が簡単なものと思って売買すると間違えになり、場
合によっては身上を潰し恨まれることになってくるので決して決して人に見せ
ず秘密にしておかなければならないのです。特に「三位の伝」はこの世に又と
ない秘法であり、知っている人も少ないのです。この「三位の伝」にしたがっ
て売買するときは利運に恵まれ損することはありません。大切なものと心得て
秘蔵し、人に見せることは厳に慎むべきであり、秘密にして置くべきである。

 他人にこの書を見せて「これで儲かるよ」と軽々しく言ってはいけないとい
うことです。この書に限らず、相場の世界では「生兵法は怪我の素」というこ
とは良くあることでなまじかじって知っているような顔をして、実際には損切
りも出来なければよくも考えずに売買をしたりしているものです。また、こう
いった指南書を読んだことで満足し、実践に生かしきれず損を重ねることも多
いのです。この書を読んでしっかりと「自分の投資スタイル」を見つけること
が肝要で、人に自慢するものでも、教えるものでもなく、しっかりと儲けるこ
とが重要なことなのです。

 「三猿金銭秘録」の中でも「相場三昧伝」の中でも表現の仕方こそ違えかな
り共通することが多いのです。相場に参加するに当たっては決して熱くならず、
常に冷静に相場の方向性やその時の地合い、また相場の雰囲気を考えて投資を
するべきなのです。またデイトレードも流行っていますが、デイトレードをす
る上でも相場の大きな流れもしっかりと把握しておかなければなりません。何
も考えずに何もせずに儲け続けることはなかなか難しく、株価の動きや相場動
向をしっかりと見極める目を養い、しっかりと儲けて行きたいものです。


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